江戸八景 愛宕山の秋の月 出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」

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月見の歴史と文化:古今東西を彩る月の物語

日本における月見:悠久の時を刻む伝統

東都月の三景 仲洲夏の月 出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」
  • 平安時代:貴族の雅な宴から 貴族たちは、月を愛でる宴を催し、和歌を詠んだり、管弦楽を奏でたりして優雅なひとときを過ごしました。源氏物語にも、月見の宴が華やかに描かれている場面が見られます。
  • 鎌倉時代以降:庶民へ広がる月見 貴族の風習が庶民へと広がり、五穀豊穣を祈る行事として定着しました。十五夜には、ススキを飾り、月見団子を供える風習が生まれました。
出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」
  • 江戸時代:庶民文化として開花 月見は庶民の年中行事として根付き、月見船や月見団子売りが現れるなど、様々な形で楽しまれました。浮世絵にも、月見の様子が描かれるなど、庶民文化として開花しました。
  • 明治以降:近代化と月見 近代化とともに、月見の様式は変化していきます。しかし、人々の心の中に、月を愛でる気持ちは根強く残っています。
東都月の三景 高輪秋の月 出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」

月にまつわる2つ有名な俳句をご紹介します。

  • 名月や 池をめぐりて 夜もすがら (松尾芭蕉)
    • 月を愛でながら池のまわりを歩いているうちに、いつの間にか夜が明けてしまった。
  • 菜の花や 月は東に日は西に (与謝蕪村)
    • 菜の花畑に月が昇り、日が沈む様子を対比させた美しい情景。
金沢八景 瀬戸秋月 出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」

東アジアにおける月見:共通する想い、多様な表現

  • 中国:中秋節 中国では、中秋節に家族が集まり、月餅を味わいながら月を鑑賞する風習が根付いています。嫦娥(じょうが)が月に住んでいるという伝説は、中国の人々の月に対するロマンチックな感情を表しています。
  • 韓国:秋夕 韓国の秋夕は、旧暦の8月15日にあたり、日本の中秋の名月と同様、家族が集まって団欒を楽しみ、感謝の気持ちを捧げる日です。
  • ベトナム:テト・trung thu ベトナムでは、中秋節をテト・trung thuと呼び、子供たちが提灯を持って街を練り歩く風習があります。

中国の杜甫の「月夜」詩を紹介します 

今夜鄜州月,閨中只獨看。
遙憐小兒女,未解憶長安。
香霧雲鬟濕,清輝玉臂寒。
何时倚虛幌,共望遙相牽。

杜甫の「月夜」は、詩人が家族と離れ離れになった状況下で、月を介して故郷と家族を思う心情を詠んだ作品です。この詩は、その切ない情景描写と、普遍的なテーマである家族への愛、故郷への郷愁が人々の心に深く響き、広く愛されています。

西洋における月:神話と芸術の源泉

  • 古代ギリシャ・ローマ:神々の象徴 ギリシャ神話ではアルテミス、ローマ神話ではルナとして、月が女神として崇拝されていました。月は、美しさ、貞潔、神秘といった象徴として、多くの神話に登場します。
  • 中世ヨーロッパ:神秘と魔術 中世ヨーロッパでは、月は狼男伝説や魔女の儀式など、神秘的な出来事と結びつけられていました。
  • 近代以降:ロマンと芸術の題材 近代以降、月はロマンチックな象徴として、数多くの文学作品や芸術作品にインスピレーションを与えてきました。

月と人間の深いつながり

  • 暦と季節 太陰暦は月の満ち欠けを基準にした暦で、古くから人々の生活に深く関わってきました。月の満ち欠けは、農耕や漁業など、様々な活動の目安となっていました。
  • 信仰と哲学 月には、生命の誕生や死、再生といった、人間の根源的なテーマが投影されてきました。様々な宗教や哲学において、月は重要な意味を持つ存在でした。
  • 科学と探求 現代では、月への探査が進み、月の起源や成り立ちが解明されつつあります。しかし、月に対する神秘的な魅力は、今もなお人々の心を惹きつけています。

月見の未来:伝統と革新の融合

現代において、月見は単なる伝統行事にとどまらず、様々な形で発展しています。天体観測イベントや、月をテーマにしたアート作品、さらには宇宙旅行など、月との関わり方は多岐にわたっています。

まとめ 月見は、古くから人々に愛されてきた伝統的な行事です。しかし、月見は単に過去を継承するだけでなく、現代の人々が自然と触れ合い、心を癒すための大切な機会でもあります。今後も、月見は人々の生活に根ざし、新たな形で発展していくでしょう。

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