伝統工芸品を使って地方を世界に売り込む」日ノ本文化財団代表理事:橋村舞が7月5日登壇しました

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霜月の行事と風習

霜月の意味と由来

霜月、つまり11月は、霜が降り始める頃で、秋から冬への変化が本格的に感じられる季節です。「霜月」という名前は、寒さが増し、朝晩の気温が低くなるため霜が降り始めることから来ています。この時期には、収穫が終わり、自然や神々への感謝の気持ちを示す行事が多く見られます。霜月の行事や風習は、古代からの日本人の自然観や生活様式と深く結びついており、伝統的な季節の移り変わりを感じる機会でもあります。

霜月の代表的な行事

霜月には、日本全国で行われる多くの行事があり、家族や地域が集い、共に祝う姿が見られます。以下は、霜月を代表する二つの行事です。

七五三(11月15日)

七五三は、7歳、5歳、3歳の子どもたちが神社で成長を祝う行事です。家族と共に晴れ着を着た子どもたちは、神社にお参りをして、無事に成長したことを神様に感謝し、今後の健やかな成長を願います。この行事は江戸時代に始まり、現在も多くの家庭で親しまれています。七五三の日には神社が華やかに飾られ、千歳飴を手にする子どもたちの笑顔が印象的です。千歳飴には「長寿と健康」の意味が込められており、家族の絆や子どもたちの将来を祈る大切な日とされています。

新嘗祭(11月23日)

新嘗祭(にいなめさい)は、五穀豊穣を神々に感謝するための神事で、古くから日本の農耕文化に深く根付いています。皇室でも行われる重要な儀式であり、天皇が新米や作物を神様に捧げ、国の安泰と国民の健康を祈ります。また、全国各地の神社でも同様の儀式が行われ、地元の収穫物が奉納されます。この祭りは、農作物を育んだ自然への感謝を示し、農業を大切にする日本独自の伝統を感じさせる行事です。現代においても、多くの地域で収穫祭として継承され、地域住民が集い、食材の恵みに感謝を込めて祝います。

地域の霜月ならではの行事

霜月には、日本各地で地域に根付いた独自の行事が行われ、冬の訪れに備える伝統が息づいています。以下、地域ごとに特色ある霜月の行事をご紹介します。

東北地方:収穫祭

東北地方では、霜月に「収穫祭」が行われます。この行事では、地元で収穫した米や野菜を神前に捧げ、今年の豊作に感謝すると共に、来年の五穀豊穣も祈願します。また、地元の人々が集い、伝統的な郷土料理を振る舞い合う場でもあります。収穫祭には、伝統芸能の舞踊や太鼓の演奏が披露され、豊かな秋の恵みを祝い、地域の絆を深める機会となっています。

関東地方:酉の市

関東地方、特に東京では、11月の酉の日に「酉の市」が開かれます。浅草の鷲神社をはじめ、各地の神社で行われるこの行事は、商売繁盛や家内安全を祈る祭りとして広く知られています。境内では縁起物の熊手が売られ、華やかな飾りが施された熊手を手に入れることで、新たな一年の幸運を願います。酉の市は賑やかな雰囲気が特徴で、多くの人が足を運び、年末への活気を感じられる行事です。

関西地方:紅葉祭り

関西地方では、霜月になると各地の寺社で「紅葉祭り」が行われます。特に京都の寺院では、夜間ライトアップも行われ、紅葉が幻想的に照らし出される光景が楽しめます。この祭りは、四季折々の自然の美しさを感じられる貴重な機会であり、紅葉がピークを迎える霜月ならではの風物詩です。また、紅葉狩りと共に、地域の歴史や文化に触れられるイベントが開催されることも多く、観光客や地元の人々で賑わいます。

九州地方:おくんち祭り

九州では、霜月に「おくんち祭り」が行われます。各地の神社で収穫を祝う行事で、特に長崎のおくんち祭りは有名です。伝統的な踊りや御輿の練り歩きが行われ、地域ごとの風習が色濃く表れる祭りです。霜月の冷たい空気の中、地元の人々が集い、五穀豊穣や地域の安全を祈りながら、一年の締めくくりとして盛大に祝います。

霜月ならではの行事は、地域の特色や自然の恩恵に感謝し、人々の絆を深める場として大切にされています。

霜月の行事を通じて感じること

自然との調和を意識する

霜月の行事は、自然の恵みや季節の移ろいを感じながら、自然と共に生活してきた日本の文化が色濃く反映されています。例えば、新嘗祭や収穫祭では、収穫物を神々に捧げ、自然への感謝を表現します。秋の終わりに感謝し、冬への備えを始める霜月は、四季の循環を意識しながら生活する日本人の心が反映された月とも言えます。寒さが強まる中で、焚き火や灯明をともして温かさを求める姿は、人々の団らんやつながりを象徴しています。

家族や地域の絆を深める

七五三や秋祭りのように、霜月には家族や地域が集い、成長や収穫を祝う行事が行われます。七五三では、親子が共に祝いの場に立ち、成長を喜び合うことで家族の絆が深まります。また、地域の祭りでは、住民が協力して準備を進め、伝統文化を未来へと継承していく役割も果たしています。こうした行事は、日常の忙しさから一息つき、自然と共に生活する喜びや、大切な人たちと過ごす時間の尊さを再認識させてくれます。

霜月の行事を通じて、季節の移ろいを感じると同時に、人と人、そして人と自然のつながりを深める機会として大切にされているのです。

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